続・One Directionがやってきた


彼らが来日したことをなぜ2回に分けて書くことになったか前回のブログを読んで頂ければわかると思うが、とにかく溜まっていた。本当に400日以上も待った。次にいつ来日してくれるのか、あるいはもう来日してくれないんじゃないかというのは、外タレを応援しているなら誰だって感じたことのある不安だと思う。その点では早めに日程が決まっているのは良いが、実際そうなってみると苦しい点のほうが多かった。

私の場合はぶつかって欲しくなかった予定と見事にかぶった。絶対にムリ!だったら割り切れたのだが、自分が何とかすればライブに行けるの予定なのがまた辛かった。自分と闘い続けついに決意をしたあとでなぜ2万円近くもローソンに持ってく必要があったのだろうとこの時ばかりは強く思った。2万円は幸せの切符に生まれ変わる必須アイテムだというのは重々承知していたが。

それからはライブに行くんだからそれまで自分が何とかしなきゃと400日以上も必死で生きたわけなのだ。

前回の幕張メッセとは動員数がえらく違って3万人ということだったので、落選して行けないというファンクラブ会員はいなかったのではと思われる。行けなかった人は絶対ムリ!っていうパターン、例えば受験などでライブなんか行ってる場合じゃないという人だったのだろう。

今回のライブは私のようにそれまで必死で頑張るから行く人、どうにもこうにもに行けない人を400日以上苦しめた。きっと他の種の人も苦しめたと思う。400日ってマジで長い、長すぎる。

成仏できる日の朝はやばかった。テンションが半端なかった。もちろん、起きるとすぐに腕にメンバーの名前入りブレスレットをつけた。前日から用意しておいた、ボード・タオル・双眼鏡・カメラの入ったメンバーの顔入りバッグを見てにやけた。1ヶ月前から風呂で歌詞アプリを見ながら熱唱してきた歌を今度はリビングで熱唱した。

電車に乗って途中からdirらしき人が増え始めるのでそれを見て友達と爆笑した。乗り換えの時つぎに乗る電車が分からなくなり、確実にdirの人について行ったら10分間駅の外を歩かされおかしいおかしいと言っていたら案の定彼女たちはドトールでお茶をしやがった(ついてきやがったのはこっちですごめんなさい)。

順調にグッズを購入し、いざ会場に入るとなるとやばいやばいを連呼しただの馬鹿と化した。ゲートが分からなくて会場であるさいたまスーパーアリーナを一周し、大嫌いな喫煙所と何度も出くわした。何とか座席を探し当てるとまだ始まってもいないのにただただ終わって欲しくないということだけを思った。そして今さら超混雑のお手洗いに行くのもどうかということになり、先ほど購入したツアーTシャツに座席で着替えた。相当やばい。

前座は5 Seconds Of Summer(通称:5sos)というオーストラリア出身のボーイズバンドと書こうとしたら、公式サイトに「全員楽器を演奏できるのでボーイズバンドは間違い」と記載してあり困っている。前回公演前にMVが流れただけで悲鳴が上がっていたので少しだけ知っていたが、曲を聴いたことはなかった。前座に決まったと知ってから「Don’t stop」だけ聴いた。メンバーがヒーローに扮したMVは面白かったが残念ながら耳に残らなかった。

前座というのは本公演が始まる前に数十分程披露してくれるアーティストのことだ。前回の公演は2013年11月だがその時の前座はOlly Murs(オリー マーズ)だった。この時前座というお得感満載の制度にいかばかりか衝撃を受け、どんなもんじゃいとすごく楽しみにしていた。しかしOllyは私の前に現れずに本公演が始まった。海外は日本と違ってなあなあな所があるから仕方ないのかもしれない、そう思った。しかし、現れていた。正確には、現れていたらしい。後日違う席にいた友達に話を聞いて発覚したのだ。ホラーだ、ホラー。結構怖いのであまり思い出さないようにしていたが、勿体無いことをしたとも思っていたので今回こそ!と5sosのパフォーマンスを楽しむ意気込みは十分だった。

彼らはルイの目に止まりルイのツイートによって一躍有名になったという経歴を持つため、1Dなくして5sos語れずというところだろうか、18:30に近くなると会場全体がざわざわし始めた。ぱっと照明が落ちスクリーンに彼らのロゴが現れると一気に熱気に包まれた。

セットリストを全て羅列し、1曲ごとに説明を入れるのは苦手なので、ここからはとにかく偏って説明したいと思う。


5sos

「かっこいいね」
「いやまじ笑い事じゃないくらいかっこいいよ」
いや誰も笑ってはいないのだが、先ほど電車でdirらしき人を見つけては爆笑したり電車がわからずdirを尾行したりした変な友達との会話である。
彼女はLuke(ルーク)というボーカルが少しだけ気になっていたらしく、一方の私はCalum(カルム)というベースがアジア系のルックスでブルドック的ぶちゃかわ要素があるなどと勝手なことも思っていた。

それがだ。

ぶちゃくない、かわいい。

ぶちゃくない、かっこいい。

少し天を仰ぎながらマイクに向かって美声を披露するルークの隣にカルムがいて彼の前にもマイクがありカルムも歌っていた。アマゾン川で毎日泳いでそうな彼の声は結構低くどっしりと構えていた。ギターのMichale(マイケル)は日本が大好きらしく、アニヲタらしく、秋葉原も行ったらしく(どんだけ調べたんだよ自分)「マイケルクンは〜」と言っていて嬉しかった。ドラムのAshton(アシュトン)は基本歌わないのだが叩きまくっているのだろう、顔にまで筋肉がついていた。

お目当てでないということもあり、ノリノリな自分を楽しむ時間として有効的だった。

特に「Don’t stop」は生で本人たちのパフォーマンスを見ることがどれだけ尊いことか再認識できた楽曲だった。
もう1度言うが、この曲聴いたとは言えども耳に残らず全く覚えていない。
(さび)ドンストーップ
の部分は待ち時間に覚えられたので歌えるのを心待ちにしていたのだが、何と
ノーウェッノーウェッノーウェッ
をパフォーマンス中にすぐに覚え2回目から歌えた。次ノーウェッだろうなと思って歌ってみると本当にノーウェッで嬉しかった。Luke気になる女がそんな私を見て嬉しそうにしてた。CDで聴くのも、動画を見ながら聴くのも、ラジオを聴くのも、ライブで聴くのも全て違う。ラジオはラジオ局がかけてくれたという予想外のドキドキ感があり、ライブは曲の音が出ているところを肉眼で見れる。こんな音だったんだと音の出所を見て違う感覚を持てる。だからあの時は耳に残らなかった「Don’t stop」も超ノリノリで歌えた。


マジでOne Directionがやってきた

19:20お手洗いに行っていた人たちがほぼ帰ってくるとざわざわそわそわ自分も周りも酷かった。スクリーンにはガストのCMや他の外タレのMV、時に本日のメインである1Dの香水CM・DVD宣伝映像が流れていた。その時はスクリーンに流れただけで悲鳴が上がる。

19:30もう開演すると思った。何を緊張してるのか知らないが何度も深呼吸して心構えをした。何周見たかよってくらいスクリーンの宣伝映像は見飽きてて、それは周りのみんなもやはり同じらしく「アボアボカドカド〜」という歌とともにガストの新商品のCMが流れるとため息すら聞こえ出した。

19:40「アボアボカドカド〜」を2回くらい聞いた。次に来るはずのガストのアプリのCMが来なかった。ライブの注意が流れた、boysのアナウンス付きで。やばい、くる。まだ来ていない時の来るという感覚は、テストが配られる時の感覚に似ている。もうすぐ来るんだけどそのもの自体はない。本当にあるのか、どんなものなのか全く予測ができない先のことに心臓がはちきれそうだった。正気と興奮が入り混じった登場直前がクライマックスだったかもしれない。

何度も聴き、風呂で熱唱した色んな曲のダイジェストが彼らの映像と共に流れる。このダイジェストの1番最後の曲を勝手に登場曲だと勘違いし、悲鳴をあげた。が、メインステージにメンバーがいるはずはなく、私が彼らだと認識したのは黒Tシャツを着たスタッフだと5秒後くらいに気づいた。5秒間スタッフに悲鳴をあげていたらしい。
テレレレレッテーテレレレレレ
聴いたか「Cloud」だ、これが本当の「Cloud」だ…メインステージは遠かったがそれでも彼らがマイクを手に持ち確かに歌う姿を確認できた。ずっと待ち続けていたものを今見ているというのはあまりにも理解し難いことで自然に涙が出た。理解しようとするが驚いて泣く他なかった。

どんな見方が1番良いのか、例えば小さくてもステージを見て本物の彼らを目に焼き付けるか、1度に全員を見ることはできないがスクリーンを見て表情や髪型をじっくり見るべきか、あるいは集中できないが動画や写真を撮って2度楽しめるようにするべきかずっと迷っていた。一瞬っていうのは文字通り本当にすぐ去るもので手強い。会場にいるからこその体験を少しでも色んな角度から味わいたかったし、心から楽しみたかった。

「Don’t forget where you belong」(略してDFWYB)という曲がある。1番好きな曲はないので、1番聴きたかった曲というべきだろうか。アルバムの歌詞カードを見てみると王道ロックバラードと書いてある。この曲の前にナイルが「本当に感謝してる、君達がここにつれてきてくれたんだよ。それで君達にこの曲を書いたんだ。」的なことを言った。何が来るんだろうと紹介の仕方が素敵だったから結構ドキドキした。 
チャンチャンチャンチャンチャンチャン
これは!DFWYBではないか!直訳すると忘れないで、あなたが所属している場所をだ。…忘れないで、あなたの居場所を(あなたの居場所はここだよ)…ってことか!!!うわ!!!うわ!!!なんなのそういうことか!その一瞬で熱気に包まれながら言葉の壁を越えて音楽を通してつながるというライブにおいて最も崇高な経験ができた。思い返しても未だに鳥肌のたつ瞬間だった。

5sosも日本が大好きだったが1Dの日本愛だって負けなかった。すでに大阪公演が終了していたのだが「おおきに」「おおさか」、東京公演の朝には「さいたまがんばります」とTwitterでもつぶやいてくれていた。となるともちろんライブ中も日本語炸裂だ。「ボクハリアムクンデース」「トイレドコデスカー」「アリガット」「シャッシンオネガイシマス」「あ、ハイ」「ミンナチョーーカワイイ」変なのもあるがとにかく炸裂だ。日本人でいて良かったと思わずにはいられない。片言なのがとても可愛い。日本のアーティストがいきなり「トイレどこですか」と言い出したらざわめきどころじゃないだろうが、boysが世間一般で難しいと言われる日本語を数少ない自由時間の中で覚えてきてくれたと思うとかなり嬉しいのだ。

そんなことを思っているとすぐに彼らがいなくなった。と言ってもアンコールがあるのはほぼ前提という感じなのでさほど落ち込まなかったが、焦った。終わらないでくれと思っていた開演前に戻りたかった。先ほどの三択だが動画や写真を撮るということにわりと集中してしまった点があってそれが悔しかった。前に外タレって基本ライブ中の撮影OKってのを聞いておったまげたが、ライブへの参加の仕方の選択の幅が増えて厄介になると実際そうしてみて思った。とにかくアンコールはパフォーマンスに集中しようと心に決め、少々大げさな表現になるがカメラと肉眼の両立を今後の課題にした。

アンコールはさほど覚えていない。曲が進むということはつまり終わりに近付いているということなんだとずっと寂しがっていた。確か「Best Song Ever」「Stockholm Syndrom」あたりを歌っていた。帰る彼らの背中だけはきちんと見れて意外にあっさりと消えた。

ぱっと照明が元どおりにつき、場内アナウンスが流れる。これがboysの生声とかいうサプライズ下さいなんていう下らないことを考えながら現実に引き戻された。さっきまで彼らがいたステージにはスモークがかかっていてさっきよりも近く感じた。彼らがステージにいる時に纏っている何かがより遠く感じさせたのだろうか。だとすれば何なのだろう。その何かを突き止めることはしないほうが良いのかもしれない。ただ空間を時間を楽しむ立体的な楽しみ方がベストだった。

東京公演も終了したあと、私が1番好きなメンバーであるリアムは「日本人になってきたかも、うんなっちゃったかも」とつぶやいたらしい。何の媚も嘘もない純粋な気持ちを持った人たちが歌っているのをこの目で見れて良かった。400日以上待って良かった。

1年に1度あるかないかというプレミアムさが私をさらに底なし沼へと誘う。

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〈おしまい〉